アルボナース入り口に置いてある店の信頼感は異常。　最近、謎の消毒剤ばっかだし

https://mainichi.jp/articles/20191105/ddf/007/040/011000c

ボースの遺骨「母国インドへ」　日本に安置、子孫が鑑定訴え

終戦直後に台湾で日本陸軍機の墜落事故により死亡したインド独立闘争の指導者、スバス・チャンドラ・ボースの子孫、スールヤ・クマール・ボースさん（７０）＝ドイツ在住＝が、日本に安置されているボースの遺骨のＤＮＡ型鑑定を目指している。インドで度々、ボースの生存説が流れ、多くの人が信じてきたためだ。鑑定実現を働きかけようと、９～１０月に来日したスールヤさんは「事実を明らかにし、遺骨をインドに持ち帰りたい」と願っている。

独立戦争、志半ばで
　長年、ボースの遺骨を守ってきた東京都杉並区の蓮光寺。「彼は生きている間に（インド独立という）夢をかなえることができなかった。早く母国の地に戻してあげたい」。スールヤさんは１０月、寺の境内を訪れ、ボースの胸像を見つめながらこう語った。

　スールヤさんの父はボースのおいに当たり、若いころはボースと寝起きをともにするほど親しかった。ボースの厚い信頼を得て、密書を国外に持ち出す「連絡役」を務めたこともあったという。

　スールヤさんはそんな父からボースの話を聞いて育った。独立運動のため夜中まで駆け回り、帰宅後も父と政治の議論をしていたボース。武装闘争を主張し、非暴力運動を主導したガンジーらと対立したが、多くの国民の共感を集めた。

「栄誉にふさわしく」
　インドでは１９４７年の独立後も事故死を信じない人が多く、「ソ連に亡命した」「いつか戻ってくる」といった生存説が語られた。スールヤさんも「生きているのでは」と希望を抱いたこともあったが、１０代のころ、父から「ボースは台湾で事故死したと確信している」と聞かされた。説得力のある生存説もなく、やがて「証拠に基づかない多くの物語により、ボースのイメージが傷つけられてきた。事実をはっきりさせるべきだ」との思いを強めたという。

　スールヤさんは今回の日本滞在中、ボースと関わった日本人の子孫らと交流。蓮光寺も訪れ、ＤＮＡ型鑑定の実現を働きかけた。だが、政治的な事情などから日印両政府から鑑定の了解を得るのは容易ではないとみられる。技術的にＤＮＡ型鑑定が可能なのかも不明で、スールヤさんは焦りを募らせている。

　「歴史を知らない若い世代は次第に関心をなくしていくだろう。インド独立はボースや日本の貢献も大きい。遺骨は彼の栄誉にふさわしいやり方で母国に迎えられるべきだ」

根強い「生存説」
　「飛行機事故は偽装で、ボースはソ連入国に成功した」「ソ連から中国へ渡り、軍将校になった」――。ボースの死後、インドではこうした生存説が何度となくささやかれてきた。ボースの人気は国民の間に根強く、事故死を信じていない人は少なくない。

　近年、改めて取りざたされているのは、インド北部で隠遁（いんとん）生活を送っていたヒンズー教徒のグンナミ・ババが実はボースだった、とする説だ。地元メディアなどによると、グンナミ・ババは８５年に死亡したが、ボースの両親の写真などを所持していたとされる。１０月にはインドでグンナミ・ババとボースを関連づけるような映画が封切られ、物議を醸した。だが、スールヤさんは「ボースは１０代のころ、ヒンズー聖者の下に行き失望して戻ってきたことがある。生きているなら、隠遁生活を送るなんてあり得ない」と反発する。

　ボースの死を巡り、インド政府はこれまで３回にわたり調査委員会を設置している。５６年と７０年に設置された調査委は事故死と結論づけたが、９９年に設置された調査委は「ソ連での目撃情報」などから事故死を否定し、蓮光寺の遺骨もボースのものではないと主張した。一方、インド政府は事故死を認めない調査委の報告書には「同意しない」と表明している。

　■ことば

スバス・チャンドラ・ボース
　１８９７年、英植民地下のインド東部ベンガル地方に生まれた。武力によるインド独立を掲げ、１９４１年にドイツへ亡命後、潜水艦を乗り継いで来日。４３年にシンガポールで自由インド仮政府を樹立し、日本軍に投降した英印軍の兵を中心とするインド国民軍を率い、日本軍と共に英軍と戦った。終戦後はソ連への亡命を図り、ベトナムで日本軍機に搭乗。４５年８月１８日、給油地の台湾を離陸直後に墜落死した。現地で火葬され、日本に渡った遺骨の安置場所は容易に見つからなかったが、蓮光寺の当時の住職が「霊魂に国境はない」と引き取った。