山中伸弥氏、京大研究所長退任へ 終わりだよこの国

京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞研究所（CiRA）所長を2022年3月末で退任する。ノーベル生理学・医学賞を受賞する2年前の10年に発足して以来、先頭に立ってiPS細胞の臨床応用をめざしてきた。すべてが軌道に乗り何の憂いもなく後任にバトンを渡すと言いたいところだが、現実は厳しい。再生医療研究の「スター」が所長を辞することで、世界の優れた頭脳をひきつける力が弱まる可能性もある。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78740700U1A221C2TJN000/

山中氏は米カリフォルニア州のグラッドストーン研究所にも研究室を構える。世界最高水準の同僚とｉＰＳ細胞のメカニズム解明などの研究に打ち込み、かつ心から楽しむ姿がそこにはある。日本で会議に出席している時に比べ、格段に表情が明るいのは誰もが認めるところだ。
　ＣｉＲＡでも未来生命科学開拓部門という、名称からして研究者の心をくすぐりそうな分野の主任研究者を兼ねてきた。米国などで活動していた優秀な人材を集め、メンバーは主任研究者だけで１０人を超える。だが、山中氏がすぐに研究に没頭できるようになるかは疑問だ。再生医療研究、とりわけｉＰＳ細胞を治療に使う研究は節目にさしかかっているからだ。