- かなり昔の話だが 貧乏でどうしようもなかった時に突然舞い込んできた話。
- 俺の友人から舞い込んできた話だが凄く良い条件だったので簡単に引き受けたんだ
- その条件なんだが
１、参加人数は５人
２、掃除をするのはマンションの一つの部屋
３、一人につき一日３万円の支給額とりあえずこんな条件をその友人から聞いて
こんな好条件でしかも厚遇のバイトは無いと直ぐに自分も参加したいとその友人に伝えた - その友人からは俺の参加で枠は最後だったので俺が参加することで募集は終わり
その友人が雇い主にこれを伝えた事で俺の参加も決定し
俺はこのバイトに参加できることとなったんだ - もちろんその友人もそのバイトに参加する一人で
俺はもう少し詳しくそのバイトの詳細を聞いたのだがその友人も
それほど詳しく聞いていないと言う事で、それ以上の情報としては
その部屋は１ＤＫで６畳一間のマンションであると言う事は分かった - で、その時思ったんだ。
その友人とだが １ＤＫで６畳一間の部屋を５人がかりで掃除のバイトで
しかも一日一人３万円の給料は良すぎないか？
ということだ
そんな部屋のバイトなら普通に考えて一人で十分だし、一日３万円という
言い方も何か一日では終わらないかもという言い方になにか嫌な予感もしたんだ - その友人も俺のその嫌な予感は当然有ったのだがそれでも一日３万円というにんじんは
余りにも魅力的で、それは当然俺にとっても同じで、嫌な予感よりお金の魅力を選んだんだ - このバイトの話が友人に飛び込んできたのは、そのマンションのオーナーの息子からの依頼で
その友人はその息子と友人関係にあって、そこから依頼されたらしい。俺も友人も嫌な予感はしたんだが、いくらなんでも１ＤＫで６畳の一間の部屋を５人がかりで
掃除をすれば多分早く終われるかもと、そんな軽い気持ちでその掃除の決行日の連絡を待ったんだ - そしてその連絡は過ぎに来たんだ。
しかしそれは少しおかしい事だったんだ。
最初は普通に「汚れていい格好で来ること」それだけだったんだが
次が少し妙だった
それが決行日までは良かったんだが開始時間だった
なんと開始時間が夜明けの朝の５時と言ってきたんだ
この時刻はさすがに俺も友人も頭をかしげた
なんでたかだか１ＤＫの部屋の掃除でしかも５人がかりで朝の５時と・・
少しおかしいだろと、俺も友人も思ったが雇い主はそう言うので普通に従った。 - そんな気持ちで迎えた決行日
俺と友人は二人で現場に朝の５時に到着し、すると俺たち同様に他の三名も
既にそこに居て、この３人はそれぞれどうも面識が無いようで、もちろん俺たちもその３人は面識が無く
しばらくしてそのオーナーの息子もやってきたするとその息子は俺たちにまずはマスクと軍手を配り出したんだ。
しかし驚いたことは次配り出した物だった
なんと次に配り出した物は、ふつうに工事現場などで使われる大きいショベルだった。
部屋の掃除にこんなものが必要なのか？とみんなそこで思った。
「これは掃除だろう？」
「何の掃除なんだ？」などとめいめいが困惑したが、その息子はあまりそこは説明せず
目の前のマンションを指さし 「ここの一階のへやがそうだから」と言って
そこに足を進めた。 - 俺たちは少しの不安を抱きながらその息子の後を歩き、だんだんと３万円という高額な
バイト料の重さを、まだ何もわからないけどなんとなく実感するような気持ちになって
息子の案内された部屋に着いた - その部屋の前で息子は鍵を開けた
俺たちは５人とも大きなショベルを持って、それぞれがマスクと軍手をして息子が
ドアを開ける所を全員じっと見ていた。 - 息子は大きくドアを開けた瞬間
俺たちはその中の光景を今も忘れはしない
ドアを開けたら普通中まで見えるものだがいきなり「壁」があり
その壁は外から見た感じではどう考えても中に入れない思い切り壁が
そこにあるんだ。 - まだ朝暗いことで その壁の正体は分からなかったが、皆で近づくとその壁の正体が分かった
なんとその壁の正体はすべて「ゴミ」だった
ゴミがぎっしりと下から天井まで隙間もなく積み重なっていて地層の様に積み上げられているんだ - この光景は５人全員を驚愕させ、しばらく５人はその壁を眺めているだけの状態にしたんだ
- そこでだんだんと色々な疑問が５人に湧いてきて、オーナーである息子に質問攻めが始まったんだ
ちなみにこのマンションは賃貸で、当然この部屋にも住民は居た。
ここからしばらくこの息子のこの部屋のこれまでの経緯の説明が始まった - この息子もここの住人の詳しい情報は持っていなかったが、それでも知っている事を話し出した
１、最近までその住民はここで暮らしていた
２、この部屋の実態を知ったのはここの住民が夜逃げをして出て行ったことが分かって初めてこの部屋を開けて知った事
３、この住民はここに１０年以上暮らしていた
４、あらゆる業者に依頼したがこの惨状を見て断られた
５、仕方なく個人で依頼して今日に至った
６、この住民は家賃などの支払いはずっと問題なかったがこの半年で家賃が滞るようになり
そしてとうとう夜逃げをした模様
７、近所の住民からのこの住民に対して苦情は出ていないなどだった
- そしてその息子からは深々と頭を下げられ
「お願いだから辞めると言わないで欲しい」
「本当にどこに依頼しても断られ、どうしようもない」
「あまり情報を言えなかったのは断られると思いそうした」
「本当に申し訳ないがどうか助けてください」そんな息子の必死の願いに俺たちももう後戻りできなかった。
- しかし皆も同じ疑問を持った
こんな所にどうやってこの住民は暮らしていたのか？
ドアを開けたらいきなり垂直に切り立ったゴミの壁でどうやって暮らせるのだ？
しかしその疑問はそのゴミの壁をよく見れば解決した
本当に信じられない事だが、その壁にはよく見ないと分からなかったが
ゴミの壁中央にゴミの階段らしき足を掛けれるようなくぼみが有るのだ
しかも多分だがその壁をよじ登った後の様な手を掛けた後もその両サイドに
有ることを突き止めた。
そしてそのゴミの壁の上部は確かに隙間が有り、その隙間は奥へと続いているようだった。 - これは今でいうゴミの壁で出来た「フリークライミング」の様な物で
この住民は多分、天井とゴミのわずかな隙間で暮らしていたと言うことで、それ以外ここで
暮らしていたならそれ以外考えられない。
5人は普通に考えればそれって笑えることかもしれないが、あまりにもこの光景とこれから
ここのゴミを一掃しなければならない重圧から笑みの一つも出ない緊張感でいっぱいだった - しかしぼーっとしてても始まらない
ようやく皆はその手に待ったショベルを使いゴミの壁に向かってショベルでゴミを掻き出していった。どれだけの期間これほどの量のゴミを溜めて行ったか分からないが、しかしショベルがゴミの壁を
掻き出すために突き刺しても想像以上の固さで積み重なっており、なかなか思う様にショベルが
ゴミの壁を貫く事が出来ず、その感触からこれは相当昔からゴミを溜めていたことが
伺え、この作業は想像以上に難航する物と５人はそう思ったと思う。 - それでも掻き出していったゴミはオーナーの息子が大きなゴミ袋に詰める作業をし
俺たちはただやみくもにゴミの壁を崩す作業を延々としていた。そんな作業が繰り返しすると、ようやく入り口付近のゴミは大分形を崩し、そこから奥へと進める様に
ゴミの上部の部分を徹底的に出していった - 何とかその部屋の中に入れるようにまでゴミを掻き出す作業はもう既にお昼を超え、５人が部屋の奥まで入れるようになったのは
既に夕方となっていた。
ここでようやく５人は気付いたんだ
このバイトがどうして朝早く、明け方に始めた理由が
当然だがこの部屋には電気は止められていて明るい内でしか作業が出来ないからで
当然だが日没前でこのバイトは終わらざるを得ないからだ - 突然のにんじん
- 5人がかりで、たった１ＤＫの部屋だが一日かけた作業でようやく中に入れた状況は
この日がどれだけおびだたしいほどゴミが山積しているか想像してほしい。
しかも中に入れたと言うのはゴミの山と天井のわずかな隙間に入れたと言う状況で
これから本格的にこの部屋のゴミの山の上部から本来の部屋の床までゴミを掘り出していくと言う
作業が始まったにすぎないと言う事だ - ２時間経過
- 当然、もちろんのことだがこの部屋に充満している匂いも強烈で、マスクなどほとんど効果は無いぐらいの
強烈な悪臭が漂っており、その匂いは目が染みるほどのもので、少しの時間の作業で外に出て
呼吸を整えなければならないほど酷い悪臭に包まれていた。今日の作業は一端終了し、とりあえず皆が集まってオーナーの息子から今日の作業の終了を告げられた
- 書き溜めてないから遅くてごめんね
その時の息子は悲痛な叫びで「明日もお願いします」とめちゃくちゃ頭を下げられて皆は帰路に着いた。
- そして次の日
皆も昨日と同様に明け方集合に集まり、その時の息子は本当に喜んでいた。
そしてまた５人は部屋の内部にゴミの山を掛け登って侵入し、内部奥から外へとゴミを掻き出す作業に終始した。 - ワッフルワッフル
- 金塊が出てきて山分けってオチじゃないと最後まで読めない
- そしてその作業中に一人の奴がポツリと嫌なことを言ったんだ
「このゴミの山を掘ってたら死体が出てきたりして・・・」これは初めは冗談で皆も聞いたが、作業を進める作業をすればするほどなんか現実味が帯びてきて
段々とみんなの作業の手が遅くなっていった。
だってそう思っても当然なんだ
これほど異常な奴のやることは常識では計り知れない事が出来る証拠なんだ
だから本当に死体が出てきても本当に不思議じゃないんだ
多分この時皆も俺と同じように考えたと思う。
そんな時、作業中の一人が「足が震えてる」って言ったんだ
それを聞いた俺も本当に足が震えだしたんだ
恐怖を真近に経験すると本当に足が震えるんだ
その時それを初めて経験したよ、本当に怖かった - 段々と皆が「これヤバくね」「これって事件かもしれない」なんて言う様になって
皆も一端作業を辞めて息子にこの作業の続行の是非を言い出したんだ。
しかし息子はそれこそ土下座するように「なんとか作業を進めてくれ」と言ってきた。
あまりの真剣な息子の顔で、また作業を続行することになった。 - ちなみにこのゴミのほとんどはコンビニ弁当の容器やペットボトル、やはり食べる事のゴミが大半で
しかし妙なことにペットボトルの中身が全部満タンに入っている事だった。だからゴミをショベルで掻き出すのも結構重かったりした。
さすがに中身の確認などする気もなかったけど、一人がその中身を空けてその中身を確認したんだすると開けた瞬間に物凄い悪臭が立ち込め、この中身がすぐに分かったんだ
その中身はすべて「おしっこ」だった
そこで皆も気づいたんだ
そうか！ここで暮らすには当然おしっこやうんこをするにしてもトイレなど無い
排泄をするにいちいちまた外へ出るにもこんなだらしないやつが、またフリークライミングしてこの部屋まで
戻ってくるならもうここでしちゃおうって思うだろうと・・・
その為のペットボトルは良い排泄の容器と化すということを・・
でもそれは同時に「うんこ」はどうするのかと言う疑問が出る訳だ・・・ - これまでコンビニ弁当のゴミには物によっては食べ残してあるものもあったんだ
ただ不思議なことに大抵のコンビニ弁当のゴミはちゃんとふたが占められてあり、
そこは割とこまめだとしか思ってなかったんだ・・・
当然だが食べ残しもほとんど変色しているし皆もそこに何の疑問も持ってなかったしかしペットボトルの件で皆は同じ思いを共有したんだ・・・
- うわぁ……
- その予感は的中していた。
この住人はこの部屋でゴミの山と天井の僅かな境目で寝そべって何もかもここで用を足していたんだ
それが分かった皆は更に恐怖が湧いてきたんだ
最早これは人間の所業ではないと。
ここまでゴミを溜めれる事と全ての所業が皆の足の震えを増幅させた。
部屋に充満している悪臭と見渡す限りのゴミの山は皆の神経をおかしくさせるには十分だった。 - ここで一人の脱落者が出たんだ
さすがにこの状況では誰も彼を責められなかった
オーナーの息子もその彼の申し出を引き留める事は出来なかった
俺もこの時点では正直辞めたかった
俺の友人も出来れば辞めたかったと思う
しかしそれ以上にお金の魅力に負けてしまった
俺に友人も超貧乏していたので辞めるとは言わなかった
本当に貧乏が悪い！そう思ったわ・・・
とりあえず一度みんなの低下した志気を戻すために長い休憩をはさみ、また作業に戻った
一人欠けた事は実際大きかった。
しかし皆は黙々とまた作業に取り掛かった。
しかし人間って今思うと凄いと思う。
こんな状況でもしばらくすると慣れて来るんだ
もうそのペットボトルも弁当のゴミも何とも思わなくなってくるんだ
それよりゴミの調査までする様な余裕まで出てきていたんだ - 確かにゴミ屋敷はトイレにもゴミが積んであるもんな。でも家のそこら中にうんこするなんて発想は無かったわ。それ完全に頭おかしいだろ
- まあ三万ならやるわ
- >>40
三万じゃ足りねーわ - ゴミでその住民の生き方や性格まで予想できてしまうもんなんだ
ペットボトルや弁当の種類でその人の好みや、それ以外のゴミで何に興味が有ったのか分かってくるんだちなみにそれ以外のゴミで多かった者が「競馬新聞」「馬券」「郵便物」が大半だった
「郵便物」は基本的に「催促状」が大半を占めていた
それこそサラ金やら税金やら何しろ大半が催促状で、ただ実に興味深かったことは「馬券」に記載されている掛け金の
差が面白かった
部屋の掃除のバイトをしたった件
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