判決 指宿市のホテルに8000万円支払い命令 2mプールで女子大生溺死 福岡地裁

水深2mのホテルプールで大学生溺死、監視員なし　8千万円賠償命令（朝日新聞） – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/9692d78b7a38e86d2da9c2ba286e3ca9414adf62

12/2(火) 14:30配信

朝日新聞
福岡地裁=福岡市中央区六本松4丁目

鹿児島県指宿市の指宿シーサイドホテルで2022年、大学生の女性（当時21）が溺れて死亡したのはホテル側の安全管理に問題があったためだとして、遺族が約1億5000万円の損害賠償を求めた裁判の判決が2日、福岡地裁であった。加藤聡裁判長はホテル側に計約8千万円の賠償を命じた。

【写真】【図】死亡事故のあった、指宿シーサイドホテルのプールの形状

判決によると、女性は22年7月23日、母親らと4人でホテルを訪れた。妹とプールで遊泳中、水深が1.3メートルから2メートルに変わることに気づかず妹が溺れ、助けに行った女性も溺れた。妹は自力でプールサイドに上がったが、女性は救急搬送先で死亡が確認された。

原告側は、水深2メートルという危険性の高いプールを運営するホテル側が、（1）注意書きを見やすい場所に掲示していなかった（2）事故当時、監視員がいなかった（3）適切な救命救護措置が取れる体制を整えていなかった、などの注意義務違反をしていたと訴えていた。

ホテル側は、客室やプールへの出入り口、プールサイドなどに水深表示や注意書きがあり、責任はないとして棄却を求めていた。（松本江里加）

■監視員や救命具の配備、法的義務は無し

プールの安全対策をめぐっては、国が2007年3月に「プールの安全標準指針」を出している。埼玉県ふじみ野市の市営プールで06年に小2女児が吸水口に吸い込まれて死亡した事故を受けたものだ。

ハード面では、救命具の配備や、注意喚起のための看板や標識の設置を求めている。

ソフト面では、規模に応じた適切な監視員の配置や、事故発生時の対応マニュアルの作成を求めている。

今回事故のあった指宿シーサイドホテルを管轄する鹿子島県の加世田保健所（南さつま市）は朝日新聞の取材に対し、22年の夏休み前にも、この指針を管轄エリアのホテル側に通知していた、と説明した。

ただ、指針は主に学校に設置されたプールが対象で、民間施設に対しては「参考活用を期待する」にとどまる。また国土交通省によると、監視員の設置を義務づける法律はないという。